『ワイルド・スピード MEGA MAX』(原題: Fast Five)


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製作費   $125,000,000
興行収入 $353,241,873

■物語
麻薬王のブラガの逮捕に貢献したドミニクであるが、裁判において懲役25年の判決を言い渡される。
だが護送中にブライアンと妹・ミアの手により逃亡に成功し、国際指名手配される。
ブラジルのリオデジャネイロに逃亡したブライアンとミアは昔の仲間のヴィンスと再会。麻薬取締局の押収した車の窃盗の仕事をする事になり、
そこにドミニクも合流するが、仲間の裏切りにより襲われてしまう。
その理由は、ドミニク達が盗んだ車に隠されたリオデジャネイロで最も強い権力をもつ悪徳実業家、エルナン・レイエスの闇金の流れを記録したマイクロチップにあった。
そんな中、ミアがブライアンの子を身籠もった事を知ったドミニクは、過去を消して家族で静かに暮らすのに必要な資金と資格を得る為に、レイエスの闇金1億ドルを強奪する計画を立てて世界中から過去、様々なヤマで出会った色々な分野の凄腕プロを集める。
レイエスと癒着した警察署の金庫という突破困難な場所に隠されている現金を、彼らを執拗に追うホブスの米警官部隊やレイエスの手下の攻撃をかわしつつ、
強奪する事が果たして出来るのか。


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メガ盛!

先ず邦題「ワイルド・スピード MEGA MAX」が合格すぎる。
「ワイルド・スピード MAX」の次は「MEGA」でしょ!
作品の内容も邦題負けしておらず、過去シリーズからキャラクターを大集合させ
何だかよう分からないけど‘ドリームチーム’感が出ている。

そんなチームの行く手を阻むのがドウェイン・ジョンソンaka‘ザ・ロック様’!

アクションも今まで以上にてんこ盛りで、ある種の臨界点に達しています。



ミスター・アンダーアーマーことドウェイン・ジョンソン

ドウェイン・ジョンソンは元々プロレス界のスター選手。
WWEにてルックス、身体能力、トーク等どこを切っても一級品のパフォーマー。

そんな彼が映画俳優に転身したのは2001年の「ハムナプトラ2/黄金のピラミッド」でのスコーピオンキング役。
2002年のハムナプトラシリーズからのスピンオフ企画「スコーピオン・キング」を経て
「ランダウン ロッキング・ザ・アマゾン」(2003)。この作品ではアーノルド・シュワルツェネッガーからアクション映画界を牽引するようにバトンタッチを象徴する場面があるので必見。
しかしその後「Be Cool/ビー・クール」(2005)「ゲーム・プラン」(2007)「妖精ファイター」(2010)などでアクションを敬遠し「ワイルド・タウン/英雄伝説」(2004)「ファースター 怒りの銃弾」(2010)といった70年代風無骨男気映画に主演するなどしていました。

我々の期待とは裏腹にどうもドウェインはど真ん中なアクション映画で大暴れする体を嫌っているようです。

しかし2011年「ワイルド・スピード MEGA MAX」でいよいよ
パブリックイメージなまんまの‘ザ・ロック様’が見れたのです。

アンダーアーマーのTシャツから溢れ出る僧帽筋は嫌が応なしでも見ている男どもの心をわし掴みにします。
彼の登場でワイルド・スピードシリーズの筋肉量が一気に上がります。



ヴィン・ディーゼルとドウェイン・ジョンソン 世紀の対決!

ヴィン・ディーゼルとドウェイン・ジョンソンが同じ映画に出演する。
同じ画角に映る。
対決する。
という事がとてつもない事件なんです。

これは全盛期のシルベスター・スタローンとアーノルド・シュワルツェネッガーが共演する。

全盛期のジャン・クロード・ヴァンダムとスティーブン・セガールが共演する。事態に近いです。


ヴィン・ディーゼルは「ワイルド・スピード」(2001)「トリプルX」(2002)で新世紀のアクションスターとして認知され

ドウェイン・ジョンソンは「ハムナプトラ2/黄金のピラミッド」(2001)「スコーピオン・キング」(2002)で新世紀のアクション映画界を牽引していくと期待されていました。

奇しくも同じタイミングで肉体派として世間に認知されていたので二人をライバルと呼んでもいいでしょう。

そんな00年代以降の肉体派スターの直接対決はテンションがフルマックスにあがります!

「ワイルド・スピード MEGA MAX」の劇中におけるヴィン・ディーゼルとドウェイン・ジョンソンの直接対決シーンはそれはもうド迫力。体躯に勝るドウェイン・ジョンソンがやや勝るかに思えましたが、気迫で押し返すヴィン・ディーゼル。両者ともの格が落ちない決着にジャスティン・リンなりの配慮が伺えます。



結成!チームドム!

「ワイルド・スピード X2」からタイリース・ギブソン扮すると 扮するテズ。
「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」からサン・カン扮するハン。
「ワイルド・スピード MAX」からガル・ガドット扮するジゼル。テゴ・レオとリコ・サントス

過去シリーズからプロフェッショナルを集めて、ドリームチームを結成します。

各俳優のキャリアとしてはトップスターではないのだけれど、
過去シリーズに出ていた‘あの人もいる、この人もいる’状態で実に国際色豊か。


ヴィン・ディーゼルはイタリアと黒人のハーフのアメリカ人。
ポール・ウォーカーはアメリカ人。
タイリース・ギブソン、リュダ・クリスはブラック系アメリカ人。
ガル・ガドットはイスラエル人。
サン・カンは中国系アメリカ人。
テゴ・カルデロン、ドン・オマールはプエルトリコ人。



ファミリー!

「ワイルド・スピード MEGA MAX」からドミニクの‘ファミリー’色が強くなっています。

どれだけ‘ファミリー’色が強くなっているかというと

・自分の妹ミアの突然の妊娠発言にドミニクは「新しい家族だ」と
義理の弟ブライアン、ミアの三人で抱き合います。

・チーム・ドムのメンバーと「Salud Familya」とコロナビールで乾杯。

・裏切りの疑いが掛かっているかつての仲間、ヴィンス(マット・シュルツ)を快く‘ファミリー’に入れます。

この辺りリーダーとしてのドミニクのウツワの大きさを感じさせます。ある種、父親的な権威を感じますね。



‘偏差値の低さ’‘発想の稚拙さ’

‘偏差値の低さ’‘発想の稚拙さ’これ褒め言葉ですよ。

チームである目的を達成しようとする「オーシャンズ・シリーズ」や「ミッション・イン・ポッシブル・シリーズ」にも
似ていますが、「ワイルド・スピードシリーズ」が決定的に違うのは‘頭の悪さ’だと思います。

警察署から金庫を強奪するシークエンスなんかは、警察にバレないように緻密に行動する訳ではなく
強引に壁を壊し、金庫を車で引きずって逃走する。

もう字面どおりの展開がこれでもかと展開されます。
この‘頭の悪さ’が潔くて好きですね。


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・過去シリーズからの大量キャラ投入。
・声高にかかげる‘ファミリー’感。
・ザ・ロック様。
・頭の悪い強引なアクション。
これ程までに要素をてんこ盛りにした本作はまさに‘MEGA MAX’です。

制作費を「ワイルド・スピード MAX」の1.5倍にした「ワイルド・スピード MEGA MAX」ですが
第一作「ワイルド・スピード」の製作費と比べると実に3.2倍と高騰しており
全世界が熱望するS級映画と決定づけられました。