今年6月に日本公開されBlu-rayリリース済みの「マッドマックス 怒りのデスロード」(15)ですが、まだまだリバイバル上映されていて絶賛劇場上映中です。僕も映画館で計6回を鑑賞している次第です。さてそんな大好きなマッドマックスですが4回目の鑑賞時にエンドクレジットである人物の名前が目に止まりました。その人物の名前は‘Richard Norton’です。そうオーストラリア出身のマーシャルアーツスターリチャード・ノートンが「マッドマックス 怒りのデスロード」に関わっているのです。リチャード・ノートンは「マッドマックス 怒りのデスロード」の劇中に俳優としても出演しており、スタッフとしてはファイトコーディネーターも務めています。


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ノートンの経歴を簡単に振り返りましょう。
下積み時代はチャック・ノリスの「オクタゴン」(80)「チャック・ノリスの地獄の復讐」(81)「暗殺指令」(82)などでスタントや端役で出演、マイケル・ダディコフの「アメリカン・ニンジャ」(85)に脇役で出演した後香港に渡ります。
ゴールデンハーベスト作品ではカンフーが使える悪役白人として重宝されます。「七福星」(85)「マジッククリスタル」(86)「冒険活劇/上海エクスプレス」(86)等を経て1987年アメリカに戻ります。
アメリカでは「Return of the Kickfighter」(87)「Equalizer2000」(87)「Not Another Mistake」(88)で主演作品を発表。また香港時代の同期であるシンシア・ラスロックとアメリカ作品で多数共演しています。「Jungle Heat」(88)「チャイナ・オブ・ライアン」シリーズ(90)「Rage and Honor」シリーズ(92)(93)などリチャード・ノートンとシンシア・ラスロックのコンビ映画が沢山作られました。しかしノートンはスターダムにのし上がる事はありませんでした。

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※ノートン主演「Equalizer2000」のポスター。いい感じのB級感。

90年台後半のノートンはお世話になった人達への御礼参りの時期に入ります
。ジャッキー・チェンの「ナイスガイ」(97)、マイケル・ダディコフの「エグゼクティブ・コマンド」(97)、チャック・ノリスの「炎のテキサスレンジャー」(01)いずれも悪役として出演。恩返しの後ノートン自身が俳優としてカメラの前に映る機会が少なくなります。 


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※ノートンとチャック・ノリスのツーショット。

2000年代のノートンはスタントやファイトコーディネーターとして活躍します。大作ではロブ・コーエン監督の「ステルス」(05)。ブルース・リーと間接的にかかわる事になる「グリーンホーネット」(11)のリメイク。サム・ライミ版ではない「アメイジング・スパイダーマン」(12)など裏方で活動を続けます。そして今年公開された「マッドマックス 怒りのデスロード」でファイトコーディネーターを務めます。「マッドマックス 怒りのデスロード」でノートンは 秀逸なファイトシークエンスを作り上げました。ニュークスと鎖で繋がったマックスとフュリオサ&子産み女軍団との複雑なバトル。この殺陣を付けたノートンは称えられるべきです。劇中、殺し合いをする関係だったマックスとフュリオサはやがて信頼し合う関係になります。この布石作りという意味でも重要なファイトシーンとなりました。このような裏方仕事だけではなく、俳優としてイモータン・ジョー軍団の参謀‘ The Prime Imperator’として登場しています。 


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※撮影当時64歳とはとても思えない逞しい肉体を披露してくれています。

「マッドマックス 怒りのデスロード」に出演したノートンがどこにいたか分からないという人でもイモータンを倒すために車に乗り移ったフュリオサに対し「ハーッ!」と威嚇する白髭のウォーボーイを覚えているはずです。
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※「ハー!」と威嚇した後にフュリオサに頭突きされます。

ウォーボーイというよりウォーオールドマンですが、大好きな「マッドマックス 怒りのデスロード」にリチャード・ノートンがこのような形で関わっていたなんて嬉しい限りです。

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※主役のマックスを演じたトム・ハーディとのオフショット。

そういえばリチャード・ノートンもジョージ・ミラーと同じくオーストラリア出身でしたね。今後のノートンの活躍に期待です。