ジェフ・ウィンコット主演作です。日本では「カジノファイター/地獄の拳闘」というタイトルでビデオリリースされていました。

DEADLY BET(91)
DEADLY BET

監督:リチャード・マンチキン
出演:ジェフ・ウィンコット、スティーブン・ヴィンセント・リー、チャーリー・ティルトン、マイケル・デラノ

あらすじは以下の通り。
賭博の町ラスベガスに、ファイターたちが真剣勝負を繰り広げる地下プロレスがあった。ルール無用、相手を完全に倒すまで続けられる死闘は、カジノの賓客には賭けの対象に過ぎない。だが、若きファイター、アンジェロにとってそれは、男のプライドを賭けた最後の勝負だった

本作はジェフ・ウィンコット初主演作ではないでしょうか。いわゆるトーナメントもの、地下格闘技ものです。格闘シーンがふんだんにあり良い動きをする演者もいるのですが主演のジェフ・ウィンコットの動きがモッサリしていて頂けません冒頭にファイター役で何と売り出し中のゲイリー・ダニエルズが出ており、ゲイリー・ダニエルズとジェフ・ウィンコットの2ショットシーンがあります。ゲイリーとウィンコットは対決はしませんが、ロープの端と端に両足を掛けて開脚をする様はジャン・クロード・ヴァンダムの「シンデレラ・ボーイ」(85)を彷彿とさせます。この頃のゲイリーは太々しくナルシストに見えていいですね。生意気な若造風です。このゲイリーがとてもいい動きをするんです。ソバットに旋風脚。ゲイリーの有り余る力を感じます。劇中一番いい動きをしていたのは主人公であるウィンコットを差し置いてゲイリー・ダニエルズじゃないでしょうか。他にもテコンドー使い二人がファイトするシーンがあり彼らも軽いフットワークでいい動きをするんです。本作はただでさえウィンコットの動きが悪いのにゲイリーやテコンドー使いのようないい動きをする演者の合間にウィンコットのファイトシーンを挟むのです。だから余計ウィンコットの動きが悪く感じる。これはファイトシーンの構成で損をしています。

またストーリーラインもとても停滞しているように感じられ、ギャンブルにはまるウィンコットですが終盤までずっと苦しみ続けます。彼が吹っ切れてファイトに救われる描写などいっさいない。さらに決勝で戦うスティーブン・ヴィンセント・リーがとってつけたように強盗を働きますが、ヴィンセント・リーを倒しても全くカタルシスは感じられません。
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※主演のウィンコットを差し置いてチョイ役のゲイリー・ダニエルズが目立つ。

このようにレビューすると主演俳優であるジェフ・ウィンコットの評価が落ちてしまいそうですがウィンコットは本作の直後に「アンダーカバー」(91)「アンダーカバー/炎の復讐」(92)「アンダーカバー/マーシャル・コップ」(93)といった傑作マーシャルアーツ映画に出演します。それは盟友監督や名アクションコレオグラファーであるとの組み合わせが合っての事です。もちろんウィンコットが動きを実演出来る器量があっての事ですが