ジャン・クロード・ヴァンダム主演作ですが、この頃は日本でもアメリカでもビデオストレート扱いですね。

ジャン=クロード・ヴァン・ダム ザ・ディフェンダー(06)
hardcops

監督:シェルドン・レティック
出演:ジョン・クロード・ヴァンダム、ラザーク・アドティ、ヴィヴィカ・A・フォックス、ヴィヴ・リーコック、ロン・セルもあ

あらすじは以下の通り・
元軍人のフィリップは、アフガニスタンやイラクにも従軍していた戦闘のプロ。そんな彼に、元ボクシング世界ヘビー級王者であり、現在は実業家として活躍しているウェインを護衛する仕事が舞い込んでくる。初めは乗り気ではなかったフィリップだったが、ウェインを護衛していたある日、相棒がギャングの銃弾に倒れてしまう。怒りに震える彼は、ギャングへの復讐とウェインを守りぬくことを誓うのだった。

ジャン・クロード・ヴァンダムのキャリア低迷期の作品です。アメリカでは「ユニバーサル・ソルジャー/ザ・リターン」(99)辺りから興行成績が頭打ちとなり「ヴァン・ダム IN コヨーテ」(99)はアメリカではビデオストレート扱い。日本では「HELL ヘル」(03)「レクイエム」(04)辺りまで辛うじて劇場公開されていましたが「ジャン=クロード・ヴァン・ダム ザ・コマンダー」(06)がDVDストレート。次ぐ本作もDVDストレート扱いです。

日本の邦題に限ってですがアクション俳優が自身の名前をタイトルに冠するようになったらキャリアの終わりと考えてよいでしょう。    「ヴァン・ダム IN コヨーテ」「ジャン=クロード・ヴァン・ダム ザ・コマンダー」「ジャン=クロード・ヴァン・ダム ザ・ディフェンダー」。ヴァンダムと同時期デビューのドルフ・ラングレンもこの手法の常連で「ドルフ・ラングレン ストーム・キャッチャー」(99)「ドルフ・ラングレン in エリミネイト・ソルジャー」(01)「ドルフ・ラングレン in ディテンション」(03)「ドルフ・ラングレン in レトログレイド2204」(04)「ドルフ・ラングレン ザ・リベンジャー」(09)「ドルフ・ラングレン ダブル・トリガー」(12)「ドルフ・ラングレン 処刑鮫」(15)と多数あります。ふたりの大先輩であるチャック・ノリスもいますが、この手の手法は大体が作品の力だけでは集客出来ないのでかつてはトップスターだったり、そのジャンルで名の知れた俳優名を使いお客を呼びこむのです。また、スターになった後に過去作をソフト化する場合にも使われ「スピード」(94)でサンドラ・ブロックがブレイクした際には過去に出演した「amazon」を「サンドラ・ブロック in アマゾン」(93)の邦題でリリースしたり、シルベスター・スタローンが「ロッキー」(83)でブレイクした後にスライが下積み時代に出たポルノ映画を「イタリアンスタリオン」という邦題でリリースしたりしています。

さてそんな手法が使われてリリースされている「ジャン=クロード・ヴァン・ダム ザ・ディフェンダー」ですから作品の質はやっぱり悪い。スティーブン・セガールやジェット・リーが「電撃 DENGEKI」(01)「ブラック・ダイヤモンド」(04)などで‘マーシャルアーツ × ブラック系俳優(HIPHOP文化)’で成功していましたが、本作は遅すぎる二番煎じ。またイラク戦争後、ハリウッド映画では‘PDST症候群をテーマとして扱う作品が増えました。ヴ本作でもヴァンダムにその影を追わせているのですが、キャラクターや脚本にうまく利かされていない。

肝心なアクションシーンでもかつてのような開脚やヘリコプターキックは見れず、回し蹴りもカットを割ったり、編集で誤魔化さないと写り映えしないようになってしまいました。

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※ヴァンダム、ヴィヴィカ・A・フォックスともにすっかり落ちぶれてしまいました。

このようにヴァンダム自身の衰えと作品のクオリティの低さ、プライベートでのスキャンダルが相まって、キャリア上どん底に落ちる訳ですが、その後自らを自虐的に描いた「その男ヴァン・ダム」(08)やスタローンを相手取った「エクスペンダブルズ2」(12)と復活を遂げています。「ハード・ソルジャー 炎の奪還」(12)「マキシマム・ソルジャー」(13)「マキシマム・ブラッド」(15)といった低予算ながら今のヴァンダムにしか出来ないキャラクターを演じていてキャリア的に円熟期に差し掛かった事を思わせてくれます。